全日本学生で悲願の優勝を果たしてから、あっという間に8月末となり、試合シーズンもちょうど中盤に入りました。
今週末には東京学生個人が控えていますが、今回は「心の準備」について少し考えてみたいと思います。
「心技体」という言葉があるように、柔道においては体や技だけでなく、心が極めて重要です。いや、むしろ最も大切な要素かもしれません。
技術を磨くこと、戦術を練ることはもちろん必要ですが、整った「心の状態」が重要だと私は感じています。
みなさんも経験があると思いますが、本当に勝つ時というのは、不思議と静かで落ち着いた気持ちの中にあります。「絶対に勝つ!」と燃えていながらも、どこか冷静でぶれない心。そんな状態の時こそ、自分の力を自然に発揮できるのです。
実際、6月の団体戦でも、正直に言えば日大の優勝を予想する人は多くなかったと思います。しかし、キャプテンを中心とした強い統率力と団結力がありました。その「心のまとまり」が、最後には力を何倍にも大きくしてくれたのだと思います。
では、どうすればその状態をつくれるのか。
それは「試合当日だけ特別に気持ちを整える」のではなく、普段の生活や稽古の中で自分の心を磨いていくことです。日々の姿勢や取り組み方の積み重ねが、本番での静かな自信につながっていきます。
ここで、致知2022年2月号に掲載されていた今北洪川老師の「孟子・浩然の気」の一節を紹介します。
【天地に充満しているこの上なく大きな強い気がある。それが「浩然の気」であって、自分の行動が正しくて天地に恥じるところがなければ、その気が身中に満ちて、何ものにも屈しない大らかな道徳的勇気になる】
心の状態が整えば、それは目に見えない大きな力となり、自信や勇気を支えてくれます。逆に、心が乱れていれば、どんなに体が仕上がっていても力を発揮することは難しいでしょう。
だからこそ、試合に向けては「心を磨く」ことが不可欠だと感じています。日々の稽古に誠実であること、人として正しくあろうと努めることが、やがて自らの内に「浩然の気」として満ちていきます。そしてそれが、本番での静かなる自信と揺るぎない力へとつながっていくのではないでしょうか。
今週末の東京学生もまた、心を整え、学生たちには全力を尽くして挑んで欲しいと思います。