「日本と海外の練習方法の違いについて」 原沢久喜です。
私は6月、7月とアメリカ、ドイツ、スコットランド、フランス、スロベニアを周り、セミナーや練習を行ってきました。
これまではIJFの試合か、国際合宿に参加するかの2択でトップレベルの柔道事情しか把握しておりませんでしたが、今回様々な競技レベルの海外柔道を肌で感じることができました。
特に印象的だったのは、海外の柔道家は技術の理合を理解することや、練習内容の目的や根拠の明確化など、理論に対しての興味関心が非常に高かった点です。

その分私も自身の経験を伝えるだけではなく、技術の言語化を行うことや、課題に対して、効果的かつ効率的な練習方法を再考するいいきっかけになり、非常に勉強になりました。
日本では膨大な量の反復練習や乱取り練習のなかで、最適解を見出していく感覚的な方法が一般的であると思います。
自分自身で考えられる選手は感覚であっても、その練習に再現性を持たせて実施することができますが、多くの選手の場合はただ練習をこなすことが目的になっていることが多いのではないでしょうか。
今回の経験を通して、指導者は決まった練習の型を押し付けるだけではなく、選手の課題を抽出して練習に落とし込み、目的が明確化された練習を与えることも、重要な役割であることを改めて実感しました。
一方で海外の柔道家は理論に対する興味関心は高いものの、同じ練習を反復することが苦手なので、実際に日本人並みに技術力が高いかと言われるとそうではありません。
どんなに辛い練習でもひたすら反復できる日本柔道家の忍耐力、理合を理解し、効果的かつ効率的な練習を求める海外柔道家のクレバーさ、どちらが良いということではなく、双方の良い部分を取り入れることが重要だと私は考えます。
